教授あいさつ

2012年4月より、東北大学東北メディカル・メガバンク機構、予防医学・疫学部門個別化予防・疫学分野の教授を担当させて頂いております寳澤 篤です。これまで私は、主に①循環器疾患の主要な危険因子の人口寄与危険度割合の検討、②診察室外で測定された血圧・脈拍の意義、③要介護発生に影響する危険因子の探索について研究をさせて頂いておりました。

その中で明らかにしてきたことは、主要な危険因子で循環器疾患発症・死亡の大部分は説明がつくことです。一方、これら十分な治療法が確立している生活習慣病であっても必ずしも十分な管理状況にありません。したがいまして、公衆衛生学的には「地域に潜むハイリスクな方々に」いかに健診を受けて頂くか、問題点が指摘された方々には適切な治療を受けて頂くか、そして十分に危険因子をご自身でコントロールしていただくか、ということを考えていくことが重要だと考えています。

しかしながら、これらの研究を更に追及することで明らかになってきたのは、いわゆる危険因子を保有しない方々からであっても病気が起こってくるということです。そこには体質や遺伝子の問題が影響しているかもしれませんし、遺伝子と生活習慣要因の組み合わせ(交互作用)が影響しているかもしれません。

そこで当分野では、東北メディカル・メガバンク事業における地域住民の方々の健康調査を担当させて頂き、住民の方々の「今」の健康の評価をさせていただくとともに、機構内各分野と共(ToMMo)に「未来型医療」の確立に必要な健康情報の収集に努めてゆきたいと考えております。皆様のご理解・ご支援をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

教授  寳澤 篤